美容師は、華やかで素晴らしい職業です。しかし実際に働き始めると辛いことがたくさんあるので、多くの美容師が夢を叶える前に退職してしまいます。
スタイリストになったとしても、長時間の立ち仕事や薬剤アレルギーに耐えられる身体がないと続けられません。当記事では美容師が辞める理由や、円満に退職するための退職理由について解説します。

美容師が辞める本当の理由7選
- お客さんとうまく話せない
- 下積み期間が長すぎる
- 指名客がつかない
- 仕事の時間が長すぎて辛い
- 人間関係のトラブル
- 健康面の問題
- 収入が低すぎる
お客さんとうまく話せない
カットやカラー中の会話が辛くてやめてしまう美容師もいます。お客さんとのコミュニケーションが苦手だと、カットやカラー中の会話や無言に耐えられません。
「何を話したらいいのか分からない」「でも無言だと気まずい」と悩み、とにかく接客が苦痛になってしまいます。他の美容師はうまく会話できているのに自分はできないので、「向いてない」「自分には無理」と感じ辞めてしまうのです。
下積み期間が長すぎる
スタイリストになるためには、平均3年間のアシスタント期間が必須です。しかし、早朝から深夜までの雑用や営業時間終了後の練習に疲れ果て、下積み段階で挫折してしまう人は少なくありません。
技術的な仕事が一切できず、長時間労働な上に低賃金なのでモチベーションが下がってしまいます。休日がきても、カラーリングの講習会に参加したりカットモデル探しをしなければならず、プライベートを楽しむ余裕もないのです。
練習用のウィッグや薬剤、講習会の費用などは自費負担である場合が多く、働いても働いてもお金が貯まりません。辛い状況下での3年間はとても長く感じられるため、入社後1年以内に半数以上が辞めてしまうといわれています。
指名客がつかない
スタイリストになると、指名客の多さに比例して給料が上がっていきます。そのため、指名客がつかない美容師は給料が最低水準のままです。
指名客がつかないと、美容師を続けるモチベーションが保てません。自信とプライドが失われてしまうので、美容師としては致命的です。
仕事の時間が長すぎて辛い
美容師は長時間労働が当たり前の業界です。休憩や食事もまともに取れず、1日中立ちっぱなしで働き続けなければなりません。
休みが取りにくく睡眠時間も少ないので、心身共に疲れ果ててしまいます。一般企業に就職した友達は仕事終わりの飲み会や大型連休の旅行を楽しんでいるのに、自分は仕事ばかりなので、惨めな気持ちになってしまうのです。
また、仕事の時間が長すぎるので恋人ともうまくいかないケースが多くなります。「美容師を辞めないと彼氏ができない」「結婚できない」と思い辞めてしまう人も多いようです。
人間関係のトラブル
美容師の悩みで多いのが「人間関係」「ハラスメント」です。上下関係が厳しく閉鎖された空間なので、パワハラやいじめが起こりやすい環境にあります。
- 仕事を押し付ける
- ミスを自分のせいにされる
- 暴言を言われる
- 人前で怒鳴りつけられる
- タオルや備品を投げつけられる
- 悪い噂を言いふらされる
- 休ませてくれない
- 帰らせてくれない
- 過小評価/仕事を与えてくれない
女性だと、上司やお客さんからセクハラされる場合もあります。どれだけ美容師の仕事が好きでも、人間関係の悪化やハラスメントがあれば辞めてしまうのは当然です。
健康面の問題
美容師は体力勝負の仕事なので、健康上の問題が起こると続けられません。健康面での問題が理由で美容師を辞めてしまう人はかなり多めです。
- 手荒れ
- 腰痛
- 肩こり
- 頭痛
- 腱鞘炎
- 膀胱炎
- リウマチ
- 鬱
- パニック障害
- その他
心身共に疲れ果てる仕事なので、医師によるドクターストップで働けなくなってしまう美容師もいるのです。少しでも不調を感じたら、早めに医師に相談するようにしましょう。
収入が低すぎる
美容師の基本給は、他の業種と比較するとかなり低収入です。業務時間が長いので、時給換算すると最低賃金を下回ることもあります。
練習用のウィッグやカラー剤、講習会の参加費用は自己負担です。仕事道具や服にもお金がかかるので、娯楽に使えるお金はほとんど残りません。
トップスタイリストになって指名客が増えれば収入は上がっていく可能性はありますが、誰でも高収入に慣れるわけではありません。稼ぎたいなら、美容師を辞めて別の仕事をした方が手っ取り早いのです。
美容師を辞めるのが難しい理由
美容師は、辞めたいと思っても簡単に辞められません。では、多くの美容師が「辞められない」と感じる理由を見ていきましょう。
人手不足で言い出しにくい
ほとんどの美容院では、ギリギリの人数で仕事を回しています。アシスタントからスタイリストまで、ほとんどのスタッフが休憩も取れずに働き続けている状況です。
- 自分が辞めたら迷惑がかかる
- 忙しいのに申し訳ない
- 無責任だと思われたくない
- アシスタントが育たない
- 他のスタッフもすぐに辞めてしまう
- 上司の指名客が途切れない
- 相談するタイミングがない
人手不足で忙しいのが分かっているのに、退職したいとは言い出しにくいですよね。責任感が強い人ほど、辞めたいと思いながらも辞められないまま仕事を続けて今います。
引き止めがきつい
美容師が「辞めたい」と相談すると、高確率で引き止められます。アシスタントなら育成の時間とコストがかかっていますし、スタイリストであれば固定客を失う可能性があるからです。
- もう少し頑張ってほしい
- 次のスタッフが決まるまで働いてほしい
- 待遇を改善する
- 本当は才能を認めてた
- お客さんや仲間を裏切ることになる
- 他のサロンでも働けない
- 美容師が異業種で働くのは無理
上記など、あらゆる言葉で引き止められるでしょう。上司から真剣に引き止められれば、誰でも辞めにくくなってしまうのは当然です。
気まずいのが苦手な人は、引き止めの時間にも耐えられません。引き止められることを考えただけでも怖くなってしまい、バックレ(無断退職)してしまう美容師もいます。
- 退職に会社からの許可は不要!引き止めがしつこい場合は退職届を「内容証明郵便」で送付しよう
- バックレはNG!損害賠償請求される可能性があるので無断退社だけはやめておこう
- どうしても辞められない場合は退職代行を使おう
辞めたいと言うタイミングがない
退職したいと思っても、いつ打ち明ければいいのか分からないですよね。特に美容院ではお客さんや他のスタッフもいるので、退職についての話を出すのが難しい状況にあります。
- いつ言えばいいか分からない
- 他のスタッフがいて気まずい
- 上司がすぐに帰ってしまう
- 応接室や個室がない
- パワハラ上司と2人になるのが怖い
退職の相談は、できるだけ上司と2人きりの場で直接伝えるのがベストです。複数のスタッフが近くにいる場合は、事前にメールやLINEで「面談をお願いしたい」と伝えておくと、後日に面談の時間を作ってもらえるのでスムーズに伝えられます。
- パワハラ上司が怖い場合はオーナーや社長に直談判してもOK!
- どうしても言い出せない場合は「退職届」を「内容証明郵便」で送ろう
資格や高価な購入品が無駄になる
美容師が持つシザー(ハサミ)やコームは、すべて自己負担で購入しています。美容師が使う道具は高額なものが多く、ローンで購入している人もいるでしょう。
- 10万円前後のシザー4~5本
- 3000円~5万円のシザーケース
- 3000円~5万円のコーム4~5本
- ダッカールやクリップなど数10本
- その他
道具のためにかなり高額な費用を抱えている場合が多く、簡単に手放せるものではありません。専門学校の学費や練習のために購入したウィッグ、カラー剤などのお金もかかっています。
長時間労働や低賃金がキツくて辞めたいと思っても、今までかかってきたお金のことを考えるとなかなか辞められません。美容師には必要不可欠な道具なので、難しいところです。
使用済みのシザー買取店がある!不要なシザーは高額買取してもらうことも検討しよう
円満に退職するための理由5選
辞めたいけれど、辞める理由がただ辛いだけ、だと理由としては弱く、引き留められる可能性の方が多いです。ここでは辞める時の言い訳として使いやすいものを紹介していきます。
健康上の理由で続けられない
健康上の理由で美容師を続けられないなら、上司としても強くは引き止められません。「続けたいけど難しい」と言い訳できるので、辞めるときの気まずさも薄れます。
- 手荒れや腰痛など職業病
- 内臓疾患などの持病
- メンタルの不調
- 婦人科系の疾患
- 妊活に専念したい
- 妊娠した
嘘にならない範囲で、自分の身体に起こる不調を理由にしましょう。医師から診断書をもらって提出すると、信憑性が高まるので辞めやすくなります。
- 診断書は1通5000円が相場
- 医師に「退職するため」と伝えて診断書を書いてもらおう
引っ越すことになった
引っ越しを理由にすれば、物理的に通えないので上司は強く引き止められません。実家へのUターンや結婚に伴う引っ越し、転職に伴う引っ越しなどを理由にすれば、仕方がないので引き止められません。
ただし嘘をつくと気まずいので、実際に引っ越せるとき限定で使いましょう。既婚者・子持ち・持ち家の場合は簡単に引っ越せないので、別の理由にするのが無難です。
- 気分転換のためにも引っ越しを検討しよう!
- 社宅がある会社に転職するのもおすすめ
親の介護が必要になった
上司として引き止めにくいのが「親の介護」です。嘘かもしれませんが、親が病気になったから介護すると言われたら引き止められません。
- 認知症になってしまった
- 転んで動けなくなった
- 病気が進行してしまった
- 田舎で運転しないと生活できない
- 老後は自宅で介護したい
- 施設に入れるまで数年かかる
- 自分以外介護できる人がいない
- 施設やヘルパーには頼めない
高齢者は、介護が必要な状態であっても病院に長く入院できません。施設に入るにも空きがなく、予約して数年待たなければならないこともあります。
そのため、遠方に実家がある場合に使える言い訳です。ただし、嘘の場合はバレないように退職する日まで注意してください。
SNSは非公開設定にしておこう
他の職業にチャレンジしたい
美容師を辞めて異業種に挑戦するなら、正直な気持ちを言ってOKです。引き止められる可能性は高いですが、ポジティブな理由なので気持ちを押し通せます。
- 美容機器の開発に興味を持った
- 店の内装が素敵でインテリア業界に興味を持った
- お客さんと話していてITに興味を持った
- 不動産屋の友達に誘われた
- DIYの趣味を仕事にしたい
- 釣りが得意なので漁師になる
- オーナーに憧れて経営を学びたい
- 若いうちに海外で働いてみたい
「美容師の仕事は楽しい」「でも他の夢にチャレンジしたい」というスタンスで押し通せば、強くは否定できないはずです。次の職場について聞かれたら「電気メーカー」「広告代理店」など濁して伝えましょう。
新たな環境(他店)で働く
美容師が働く店を変えることは、悪いことではありません。特に独立を考えている美容師は、多くの店を経験して経営を学ぶことも大切です。
そのため、他の店に移りたいときは正直に話しましょう。今の職場の不満は言わずに「環境を変えて学ぶため」と強調することで、円満な関係のまま退職できます。
他店で働き始めたらいずれバレてしまうので、嘘をついて辞めるのはNGです。多くのスタイリストが店舗移動を経験しているので、「経験のため」「勉強のため」と伝えた上で誠意をもって話せば分かってもらえるでしょう。
- 気まずいのは一時的!正直に話すことが最良
- どうしても言いにくい場合は「しばらく休みたい」「今後のことはこれから考える」と伝えよう
美容師を辞めにくいときは退職代行を使おう
「どうしても言いにくい」「辞めたいけど辞められない」と悩んでいる人は、退職代行を使いましょう。退職代行を使えば、上司と直接話すことなく確実に辞められます。
退職代行に頼めば、一切職場に行くことなくすぐに辞められるので安心です。書類のやり取りや備品の返却等は、すべて郵送で対処してもらうようにお願いできます。
退職代行の料金相場
退職代行の料金相場は3万円~5万円です。格安業者でキャンペーンなども利用すれば、1万円~2万円で対応してくれる場合もあります。
退職代行には3つの運営元があり、運営元によって料金やできることが異なります。職場の状況や上司の性格を考えながら、自分に合った業者を選ぶことが大切です。
運営元 | 料金相場 | 交渉 | 即日退社 |
---|---|---|---|
労働組合 | 2万円~3万円 | 〇 | 〇 |
弁護士 | 3万円~10万円 | 〇 | 〇 |
株式会社 | 2万円~3万円 | × | 〇 |
最もコスパがいいのは「労働組合」運営の退職代行です。ただし「株式会社」運営の退職代行はキャンペーン等で格安になる場合があるので、職場と交渉する必要がないなら利用してもいいでしょう。
職場と揉める可能性があるなら、高額ですが「弁護士」に依頼するのがおすすめです。「弁護士」なら裁判の対応ができますし、法律の専門家なので安心して任せられます。

退職代行のメリット・デメリット
「二度と関わりたくない」「上司と話したくない」という美容師なら、退職代行を使うメリットが大きいといえます。バックレ(無断退職)は損害賠償請求される可能性があるので、退職代行を使って正式に辞めることがおすすめです。
- ストレスなし
- すぐに辞められる
- 上司や同僚と話さなくていい
- 職場に二度と行かなくていい
- 必要書類は郵送で対応
- 退職完了まで代行スタッフがやりとりしてくれるので安心
ただし「気まずい」「申し訳ない」という気持ちで辞められない人にはおすすめしません。自宅・実家から近い職場の場合も、退職代行を使うとデメリットの方が大きいです。
- 印象が悪くなる
- 悪い噂が広がってしまう
- 罪悪感が強くなる
- 退職後に遭遇したときに気まずい
退職代行を使うときは、自分の状況をよく考えてから申し込みましょう。多くの退職代行サービスでは無料相談を受け付けているので、まずは気軽に相談してみてください!

美容師の辞めたい理由まとめ
美容師は、辞めたいと思ってもなかなか辞められないですよね。多くの美容師が同じように、辞めたい理由を抱えて悩んでいます。
どうしても美容師が続けられないなら、思い切って異業種に転職するのがおすすめです。美容師資格や経験を活かしながら、安定して働ける職場は意外と多くあります。
もし人間関係や待遇が理由で辞めたいと思っているなら、店を変えて美容師を続けましょう。辞めにくいときは退職代行を使ってもいいので、自分の気持ちに素直になって充実した人生を選んでください。
