「生理前で仕事に行きたくない」症状は人それぞれですが、大なり小なり仕事が煩わしく感じることがあるでしょう。
辛い時に身体を休めて適切に対処できれば、症状緩和の見込みが高まるだけではなく、「仕事に行きたくない」ネガティブな気持ちを和らげることもできます。
この記事では、生理前に「仕事に行きたくない」と感じてしまう原因や、症状が辛いときに会社を休む方法など、生理前の苦しみを解消する情報をお届けします。ぜひ参考にしてみてください。

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『退職希望者』と『退職代行業者』の懸け橋になることを目標に本プロジェクトを立ち上げる。自分たちの退職時の経験から悩みに寄り添い、安心して利用できる退職代行業者のみを紹介する。

生理前「仕事に行きたくない」気持ちになる原因
生理前はホルモンバランスが崩れるため、身体と心に不調をきたすことがあります。「仕事に行きたくない」という気持ちも一つの症状であり、自分に落ち度があるわけではありません。
PMS(月経前症候群)
PMSは生理の3~10日前から起こる不快な症状を指します。医学的には生理前の不快な症状が繰り返し3か月以上続き、日常生活に支障をきたす場合にPMSと診断されます。
症状を引き起こすのは「プロゲステロン」というホルモンです。本来子宮内膜を柔らかくしたり水分や栄養を溜め込んだりして、妊娠を助ける役割を果たします。食欲が増す・身体が浮腫むといった症状もこれらの生理的作用からくるものです。
身体の症状だけではなく感情の起伏が激しくなる、イライラするなどもプロゲステロンの働きによって起こります。自分にはどんな症状があるかを把握しておくと、対応できることがあります。
PMDD(月経前不快気分障害)
PMDDもPMSと同じく、生理の3~10日前から症状が出ます。PMSの中でも心が際立って不安定な状態を言い、自身の日常生活だけではなく人間関係に支障をきたすことも多いのが特徴です。
PMDDの症状は不安・緊張・情緒不安定・抗うつ気分が中心で、人によっては睡眠障害を引き起こすことがあります。軽度の場合には低用量ピルや漢方が処方されますが、状況次第では抗うつ薬を処方されることもあります。
一般的にPMDDはPMSより症状が重く、感情の症状を伴うものと理解しましょう。エビデンスはありませんが、気分転換やリラックスで症状が和らぐこともあります。
生理前症状が辛い!仕事に行きたくない日の休み方
生理の症状が辛いときは、生理休暇制度の利用を検討しましょう。取得方法や注意点などをご説明します。
PMS症状でも生理休暇制度が利用できる
生理休暇制度は、雇用形態に関わらず誰でも取得することが可能です。労働基準法では、「生理日の就業が困難な女性が休暇を請求した場合には、就業させてはならない」とされています。
PMSで取得する場合については明確な規定がありませんが、診断書が必要ではないため、症状が重い人は実際に生理休暇として取得する人が多くいます。
1日単位ではなく半日や時間単位でも取得できるため、気になる場合には会社に相談してみましょう。当日申請も有効で、出社後辛くなった場合でも取得することができます。
生理休暇の取得・申請方法
生理休暇を取得・申請する場合に手続きは必要ありません。その時によって状態が異なるため、事前に予想することが不可能だからです。よって当日の状況をみて、口頭伝達でも問題ありません。
しかし生理周期が定まっていて、ある程度予想がつく場合にはあらかじめ周囲に伝えておくと、理解やサポートが得やすいでしょう。
診断書は不要ですが、休暇が長期間に渡る場合や深刻な症状が続く場合には、他の病気が隠れていることがあります。早めに医師の診察を受けましょう。
生理休暇を利用するときの注意点
生理休暇を取得・申請する前に、就業規則を確認しましょう。記載がなくても休暇取得は可能ですが、無給としている会社もあれば、有給として取得できる会社もあります。また月あたりの取得日数が決まっていることもあるでしょう。
生理休暇が有給と記載されている場合には、取得後に有給休暇は減りません。よって有給休暇を使い切ってしまった場合でも、生理休暇で休みを取得することができます。取得日数が決まっている場合には、日数以上の休暇を取得した際には無給になります。
厚生労働省の調査では実際に生理休暇を有給としている会社は少なく、無休になる会社が74.3%でした。休暇の取得は、規則・体調と照らし合わせて判断しましょう。
生理前を理由に休暇・遅刻するときのポイント
生理前を理由に休暇・遅刻する場合には、以下のことを意識しましょう。日頃から誠実な対応をして、スムーズな取得を目指しましょう。
1.遅刻時は素直に理由を話す
生理前体調が辛く遅刻をする際には、素直に理由を話しましょう。毎月ただの体調不良を理由を曖昧にしていると、「体調管理ができない人」と認識されてしまいます。
「生理前で〇〇症状が辛いため、〇時間遅刻します」と明確な理由と出社時間を伝えておくと良いでしょう。生理休暇は労働基準法で定められた権利ですから、恥じらいを持つ必要はありません。
上司から聞くと「セクハラになるかも」と考えている人もいますので、こちらから素直に理由を話してみることも大切です。
2.休む日は早めに連絡する
PMSの症状が重く休みを必要とする場合には、早めに連絡を入れましょう。事前にあなたの休暇が分かれば、周囲も対策を練ることができます。
会社の規定や連絡をする相手にもよりますが、突発の休暇連絡はレスポンスの遅れが生じにくい電話で行いしましょう。メールだと確認が遅れたり、送信できていなかったりなどトラブルが生じる事があります。
ただ、いきなり連絡することを戸惑う方も多いですが、体調不良や生理の症状などは、連絡のスピードが会社の生産性を左右します。「できるだけ早く休暇の連絡を入れる」ことを考えて行動しましょう。
3.甘えではないから罪悪感は不要
PMSで休暇・遅刻する際に罪悪感をもつ必要はありません。人に感染させるものでなければ、症状を数値で図ることもできないため、休むに値するものなのか悩むことがあるでしょう。
そんな時は「今の状態でいつも通りの仕事ができるのか」を自分に問いかけてみましょう。他人がどう思うかではなく、自分自身の体調がどうなのかを考えるのです。現実的に仕事が無理だと判断できれば、それ以上の事を考える必要はありません。
きちんと連絡さえしていれば「たかが生理で」と言われることもないはずです。甘えではないと自分が納得するためにも、体調が悪くないときにはベストを尽くしましょう。
4.理解を得られない場合は診断書を取得する
生理休暇の理解を得られない場合には、診断書を取得することを考えましょう。本来生理休暇を取得するために診断書は必要ありません。しかし医師の診断書があれば、会社との話し合いを有利に進められるでしょう。
一般的に診断書には患者の病名や症状、治療内容や治療期間などが記載されます。診断書があることで、労働基準法第68条「生理日の就業が著しく困難な女性」であることをより強く証明できます。
また受診の際に、自分が生理休暇を取得したい旨を医師に話しておくとスムーズです。診断書を取得して、月に一度生理休暇取得の可能性があることを会社に伝えましょう。
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仕事を休めない!PMS症状を緩和する対策法
PMS症状があっても、よほど体調が悪くない限りは仕事に行かなければならないこともあるでしょう。具体的にどのようにしたらPMSを緩和できるかをご紹介します。
1.眠気覚ましにカフェイン・糖分は摂取しない
生理前の眠気やイライラを理由に、カフェイン・糖分の過剰摂取を避けましょう。いずれも症状を改善するどころか、悪化させます。
カフェインを過剰摂取すると血管収縮作用が働き、イライラが増強したり生理痛が長引いたりするでしょう。糖分を過剰摂取すると血糖値が急上昇し、その後急降下するため悪循環に陥ります。
生理前にはノンカフェインのドリンクと、ゆっくり血糖値が上がる豆類・いも類が効果的です。一食でしっかり食べるのではなく、少しずつ小分けにして食べるのも良いでしょう。
2.過剰な水分・塩分・アルコールの摂取を避ける
生理前は過剰な水分・塩分・アルコール摂取を避けましょう。生理前は黄体ホルモンが活発になるため、身体が浮腫みやすい状態です。
適度な水分は必要ですが、味が濃い食事が続くと必然的に水分量が増えて浮腫みの原因になります。生理前は肝臓の代謝が落ちアルコール分解が遅くなるため、飲酒は症状を悪化させる傾向にあります。
浮腫みが辛い時には、木の実や乾燥豆などのビタミンEが効果的です。自身でコントロールしても症状が改善しない場合には、医療機関を受診しましょう。
3.血行改善を目的とした漢方や入浴法を検討する
症状が辛い時には、血行改善を目的とした漢方や入浴法を検討しましょう。生理前は、子宮内膜や骨盤内の血液循環に変化が生じ、体内に水分を貯留させる水滞が起こります。
漢方や入浴によって血行を改善できれば、症状の緩和を期待できます。入浴剤やアロマオイル、ストレッチや足湯も血行改善に効果的です。
漢方や入浴を取り入れながら、ゆったりした服をまとうことも忘れずに。締め付けてしまうと血流が滞ってしまうため、痛みや浮腫みの原因になりますよ。
4.辛いときは「思考の延期」も取り入れてみる
PMSの時期には「思考の延期」を取り入れてみましょう。人生に関わるような「重大な決断」は先送りするということです。
症状が辛い時には冷静に考えられないと同時に、悲観的な観測をしてしまうことがあります。決断したタイミングではすっきりしますが、後になって後悔することがあるでしょう。
とくに退職や離婚、結婚、大きな取引などが控えている場合には、頭がしっかり回る時期に考える事をおすすめします。自分にとって将来の利益になる「タイミング」を選択しましょう。
5.PMS日記で気持ちをコントロールする
辛い時でも仕事が休めない場合には、PMS日記をつけてコントロールするのも良い方法です。生理周期が分かるだけではなく、体調が悪くなる時期を知ることができるため、仕事のスケジュールが立てやすくなります。
基礎体温表をつけると同時に、体調やその日の気分、食事の状況を書き込みましょう。仕事を調整できる場合には、重要な会議をずらしたり、外回りの仕事を減らしたりしてPMSに対応することができます。
周囲に迷惑をかけることなく、ほんの少しの工夫で自分の負担を減らすことができるため、気持ちに余裕が出てくるでしょう。するとイライラや気持ちの落ち込みを抑える事ができます。
生理前の症状が酷いときは専門家に相談
生理前の症状が酷いときは、専門家に相談しましょう。迷ったら受診が鉄則ですが、具体的な目安と受診のメリットをご説明します。
専門家に相談する際の目安
専門家に相談する際の目安は、「生活や仕事に支障をきたすことがないか」が基準になります。だるい・起きれない・貧血などの症状などのほか、やる気が出ない・仕事に行きたくないなど、心の症状も見逃さないことが大切です。
身体の症状が重い場合には産婦人科ですが、心の症状が強い場合にはメンタルクリニックや心療内科を検討しましょう。会社に産業医がいる場合には、適切な医療機関を紹介してもらえます。
さらに産業医の判断があれば、仕事の負担を減らしたり、部署を異動したりなど対応をしてくれることがあります。それぞれの専門家の手を借りながら、症状改善に努めましょう。
専門家に相談するメリット
専門家に相談することで、気付かなかった生活改善のヒントを得られることがあります。身体に良いと思っていた生活習慣でもPMSには効果がなかったり、考え方が変わることで心の不調が和らいだりすることがあるでしょう。
医師に相談すれば、症状に合った鎮痛剤や利尿剤を処方してくれることがあります。低用量ピルは生活の質そのものの改善が期待できるため、それぞれ症状に合った専門家に相談しましょう。
なお持病や体質によっては使用できない薬もあります。個人輸入やインターネットに頼るのではなく、必ず医師と相談のうえ処方してもらいましょう。
生理前やる気が出ないときは仕事の効率が落ちる
生理前にやる気が出ないときは、仕事の効率が落ちます。よって周囲に話せる環境なら、自分の状態を話しておきましょう。普段は仕事が速くミスが少ない人でも、PMSの時期はミスにより周囲に迷惑をかけることがあります。
また症状は、環境や年齢、ライフステージの変化に伴って変わることがあるため、その都度仕事に対する姿勢が変わることを自分でも知っておきましょう。「もっと頑張らなければ」という気持ちが症状を悪化させることもあります。
「いつもと違うな」と感じたら自分を労わる時期と考えましょう。我慢したり放っておいたりせず、人に相談することを忘れずに。
上手に休みを取ってPMSを乗り切ろう
生理前仕事に行きたくないのはPMSやPMDDが原因です。辛い時には生理休暇制度を利用しましょう。診断書や手続きの必要がなく、当日電話連絡でも取得が可能です。
休暇を取得するときには素直に理由を話し、早めの連絡を心がけましょう。万が一理解が得られない場合には診断書を提出することも一つの方法です。
日頃からカフェインや糖分、塩分・アルコールの過剰摂取を防ぐことで症状を緩和できることがあります。日記をつけて仕事量を調整しても良いでしょう。専門家の意見を聞きながら上手に生理休暇を利用し、効率的な仕事ができる環境づくりを目指しましょう。