「退職届を受理してもらえなくて困っている…」
「退職届を内容証明郵便で送ったら退職できるって本当?」
退職をしたいのに退職届を受理してもらえないという、会社の理不尽な対応に悩みを抱えている方は少なくないでしょう。実は、退職届の受取拒否には内容証明での郵送がおすすめです。この記事では、退職届を内容証明で郵送することによって退職が可能となる理由や注意点、送付方法を詳しく解説していきます。
退職届の受取拒否で悩んでいる方は、ぜひチェックして下さい。

- 案内人
『退職希望者』と『退職代行業者』の懸け橋になることを目標に本プロジェクトを立ち上げる。自分たちの退職時の経験から悩みに寄り添い、安心して利用できる退職代行業者のみを紹介する。

内容証明で退職届を送付する3つのメリット
タイトルにもあるように退職届を内容証明で送付すれば、退職をすることが可能となります。まずは、その理由と併せて退職届を内容証明で送付するメリットを3つご紹介します。
1.退職届を受理させることができる
1つ目のメリットとして、退職届を受理させることが可能です。実は、退職届を提出してから退職をしなければならないという法律はありません。本来であれば退職意向を伝達した二週間後に雇用契約は自動的に解除となります。しかし、会社の就業規則やマナーとして退職届を提出する手順をとる方が多いでしょう。
退職届の受取拒否がある上司の場合は退職意向を伝達したとしても「聞いていない」と退職自体を認めてくれないケースもあります。そこで、退職届を内容証明郵便で送付する方式が役に立つのです。
内容証明郵便とは、いつ誰が誰に対してどのような文書を送付したのかといった記録を公的に証明することができる郵送方法です。郵送したという記録はもちろんのこと、受け取った際の記録もしっかり残ります。また、内容証明郵便の受取にはサインが必要であるため、郵便物を受け取らせることがが可能です。そのため、退職届の受取拒否時だけでなく、未払い賃金の催促や契約解除通知書などでも利用される方法となっています。
2.出社せず退職することができる
2つ目のメリットとして、退職届を内容証明で送付することによって出社せずそのまま退職できるケースもあるという点です。法律には、期間の定めがない雇用契約に関して退職意向の伝達後2週間で退職が成立すると記載されています。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
民法第627条
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
つまり、退職届を内容証明で受理させたのち2週間で自動的に退職が可能となるのです。基本的には、退職届郵送後の2週間は出社することを推奨しますが、「退職届を内容証明で送り付けたのに出社は気が引ける…」という方も多いでしょう。そこでおすすめなのが、2週間を有給消化に充てる方法です。
有給消化に関しては次項に記載していますが、2週間の有給消化を設定することによって出社せずに退職することができます。また、有給がないに方は最終手段である“2週間欠勤をする方法”もあります。会社が即時退職を認めた場合は出社せずに退職をすることができますが、会社が拒否している場合は2週間を有給消化または欠勤で乗り切る方法が有効です。
3.有給消化も可能
前述したように、退職時は有給消化をすることができます。退職届を内容証明で送付した場合でも有給消化の権利はありますのでご安心ください!有給消化をする際は退職届を内容証明で送付する際に、有給休暇申請書を提出する必要があります。また、退職時に有給消化をする際は会社との摺り合わせも必要です。詳しくは以下の記事もご覧ください。

【注意】100%確実な方法ではない
ここで注意しておきたいのは、退職届を内容証明で送付したからと言って100%退職が可能となるわけではない点です。内容証明で退職届を受理させることができれば退職は可能となりますが、内容証明郵便は受取を拒否することもできます。もちろん受取拒否されたことはきちんと通知されますが、退職届を受理させることはできないため、退職することが難しくなるのです。
しかし、本来退職は自由な権利であり、内容証明郵便で退職届を送付しなければいけない状況であること自体がイレギュラーです。上司が退職届を受取拒否しているのであれば総務部など社内のコンプライアンス部門に相談しましょう。それでも退職届を受け取ってもらえない場合は内容証明郵便で送付します。内容証明郵便が拒否されてしまった場合は、その記録と共に労働基準監督署や弁護士等へ相談に行くことを推奨します。
悪質な退職引き留めを証明することができれば、各機関から勧告などの措置を期待することができるでしょう。また、内容証明郵便の受取拒否などをできるだけ避けるためのポイントも理解しておくことが大切です。
失敗しない!退職届を内容証明で送付する際のポイント
前述したように、内容証明で退職届送付を失敗させないためのポイントを理解しておくことが大切です。ここでは2つのポイントを見ていきましょう。
送付する旨を会社に連絡しない
退職届を内容証明で送付する際は会社へ連絡しないことが大切です。「マナーとして何も言わずに送り付けるのは…」と不安に思う方もいるでしょう。しかし、退職届を受取拒否する、会社が内容証明で送付されてきた退職届を受け取る可能性は非常に低いです。退職届は何も言わずに送付するようにしましょう。
また、送付する際には“退職届在中”などの記載もしないことを推奨します。あくまでも退職届を送付していると知られないことが大切です。
そのまま退職する場合は欠勤連絡を忘れずに
前述したように、退職届を受理させることができれば出社せずに退職できるケースもあります。有給休暇が残っておらず欠勤覚悟で出社をしない場合は、必ず2週間欠勤連絡をすることが重要です。無断欠勤は場合によって懲戒解雇の要因となりうることがありますので、必ず連絡を入れることを忘れないようにしましょう。
また、連絡をしたことを証明するために電話の音声を録音しておくなどの対策も重要です。欠勤連絡をしていたにも関わらず無断欠勤だと言われないようにしておきましょう。
退職届を内容証明で送る方法
ここでは、退職届を内容証明で送る際の具体的な方法やテンプレートを紹介します。ぜひチェックして下さい。
step1.退職届を作成
退職届を作成する際、用意するものは以下の通りです。
- 用紙(便箋):A4またはB5、便箋はビジネス用のシンプルな用紙
- 封筒:郵便番号欄のない白い便箋、長形3号または4号
- ペン:黒いボールペンまたは万年筆
退職届記載は縦書き・横書きでも構いません。記載事項は以下の通りです。
- 冒頭:「退職届」と記載
- 導入:本文一行目の下部分に「私儀」と記載
- 退職理由:自己都合退職の場合は「一身上の都合」と記載
- 退職日:自身の退職希望日でOK(2週間後が望ましい)
- 文末:「退職いたします」などの明確事項を記載
- 届出日:郵送する日や記入した日の日付を記載
- 所属部署・氏名:下部寄せで記載し名前下に捺印
- 宛名:会社名と責任者(社長が一般的)を記載
前述したように、退職日は希望日等自由で構いませんが2週間後が望ましいでしょう。退職理由は一身上の都合ですが、会社に問題がある場合はその旨を記載しても構いません。横書きの場合は本文の前に届出日・宛名・所属部署を記載し、文末は「以上」でしめましょう。
また、内容証明郵便では「謄本」を作成し提出する必要がありますが、退職届そのままでも問題はありません。しかし、謄本には記載方法の規定があるため、事前に確認しておきましょう。謄本の記載事項に則った退職届に記載が難しい場合は別途謄本の作成が必要です。謄本に関しては郵便局の「内容証明 ご利用の条件等」をご確認ください。
退職届と併せて有給休暇申請書を提出する場合は、退職届兼有給休暇申請書として一つにまとめておくことを推奨します。
step2.付随書類を用意
退職届に同封する付随書類を用意します。付随書類は主に添え状と封筒の2つです。
添え状
添え状は必ず添付する必要はありません。しかし、社会人のマナーとして、できるだけ円満に向けた退職のために用意しておくことをおすすめします。添え状の書き方は以下の通りです。
- 届出日:郵送する日や記入した日の日付を記載
- 宛名:会社名と責任者(社長が一般的)を記載
- 所属部署・氏名:右寄せで記載
- 本文:「拝啓」から始め「敬具」でしめる
添え状は縦書きでも横書きでも構いません。また、手書きでも印刷でも構いませんが、手書きの方が丁寧な印象を受けます。本文のテンプレートは以下に記載していますので、参考にしてください。
拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。
この度、一身上の都合により退職させて頂きます。
つきましては、同封の退職届をご査収くださいませ。
突然のこととなり大変申し訳ございません。
短い間ですが大変お世話になりました。
末筆ながら貴社のご活躍をお祈り申し上げます。
書き方は様々ですが、不用意に退職理由や不満を記載しないことが重要です。また、「退職をする」という姿勢で言い切る点もポイントとなるでしょう。
封筒・宛名
退職届を入れる封筒とは別に、退職届・添え状を入れる大きめの封筒を用意しましょう。封筒は白いもので郵便番号欄の有無は問いません。封筒右側上部に郵便番号を横書きで記載、封筒右側に縦書きで会社の住所を記載します。中央部に会社名と宛名(直属上司名)を記載しましょう。
裏面左下に自身の住所と氏名を記載します。
step3.退職届や書類をコピーする
内容証明で退職届を郵送する場合、同じものを3通用意しなくてはなりません。
- 原本…会社へ郵送するもの
- 謄本①…郵便局で保管するもの
- 謄本②…自身で保管するもの
原本を2部コピーしておきましょう。前述したように、謄本は別途作成してもかないませんが、通常の退職届であれば原本をそのまま謄本とすることができます。郵便局へ提出する前にコピーを忘れないようにして下さい。
step4.郵便局で内容証明郵便を依頼する
最寄りの郵便窓口へ出向き、内容証明郵便を依頼します。費用は通常の郵便基本料に書留郵便料+内容証明料(440円)が加算されます。詳しくは郵便局の「内容証明」ページをご確認ください。
請求事項がある場合は弁護士へ依頼
会社へ未払い賃金や未払い残業代の請求や、各種ハラスメントなどによる損害賠償請求を行う際は弁護士等の有資格者へ相談しましょう。
退職届の内容証明送付を任せるだけでなく各種請求事項への対応も可能です。費用が高額になる場合もあるため、事前に調査しておくことがおすすめです。
トラブルが不安なら退職代行がおすすめ!
会社とのトラブルに関して自身での対応が不安な場合は「退職代行」に依頼する方法がおすすめです。退職代行のなかでも労働組合が運営している退職代行サービスであれば退職意向の代弁や会社との交渉を任せることができます。有給消化に関する交渉も可能なので安心です。
費用面も比較的低価格で、場合によっては即日退職ができることもあります。退職代行サービスについてもっと知りたい方は、以下の記事をご覧ください。


退職届の受取拒否には内容証明郵便を!
退職届の受取拒否で困っている方に対して、内容証明郵便での退職届送付について詳しく解説しました。内容証明郵便を利用すれば退職届を受理させることが可能になるケースが多いためぜひ活用して下さい。
また、会社とのトラブルが不安な場合は退職代行など他機関への依頼も検討しましょう。退職代行マイスターでは、文中でもご紹介したような退職代行サービスに関する情報を発信しています。
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