看護師の悩み

デイケア看護師辞めたい…中途半端な立場とやりがい、ほかの施設はどうなっているの?

デイケアで働く看護師さんの中には、多様な職種の中で働く際の看護師としての立ち位置や、医療行為が少ないゆえのやりがいの小ささに悩み、辞めたいと思っている人もいるのではないでしょうか。実はそうした悩みは解決できる可能性があるのです。

この記事ではその解決法を提示するとともに、ほかの施設の労働環境も紹介することで、あなたが自分らしく働ける場所に出会うきっかけを提供します。

ラクだけど人間関係とやりがいは…デイケア看護師が抱える悩みとその解決法

人間関係

デイケアでは多くの看護師がスタッフとの関係に悩んでいます。その理由は、デイケアでは看護師のほか、医師や介護スタッフ、理学療法士やケアマネージャーといった多様な職種のスタッフが働いており、看護師はその中で中途半端な立ち位置になりやすいからです。

例えばリハビリは理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がメインで、入浴などの生活介助は介護スタッフがメインで担当します。一方看護師はというと、デイケアでは利用者さんの重症度や緊急度が低いゆえ、医療行為が必要となる場面がそもそも少ないため、リハビリや入浴の補助に回ることになります。

しかし看護師はその分野に特化した専門的な知識は持っていないため、ときにスタッフから邪険に扱われることがあるのです。

こうした悩みの解決法は3つあります。1つ目は相手の短所だけでなく、長所にも目を向けることです。どのスタッフも利用者さんのために一生懸命になるあまり、周囲に対する配慮に欠けることがあるかもしれません。自分も例外ではないということを頭に置き、その人の長所を自分の仕事に取り入れるなど、相手への敬意を示しましょう。そうすれば相手の態度も変わってくるかもしれません。

しかしどう考えても相手にしか非がない場合は2つ目、仕事と割り切ることです。世の中にはどうしても合わない相手もいます。そんなときは利用者さんのため、お金のため、と割り切って働きましょう。

それでも解決できない場合は3つ目、転職を検討しましょう。いつまでもあなたばかり我慢する必要はありません。現状を変えるため前向きに検討しましょう。

給料

 地域によって差がありますが、25〜30万円が相場です。資格手当が支給されることも多く、看護師だと1万円程度もらえます。完全週休2日制で夜勤もないことを考えると、まずまずの給料と言えるでしょう。

Coconas『デイサービス看護師の給料と仕事内容|デイケアとの違いとやりがいは? 』 参考
(https://nurse-cube.com/9104/)

 ただ夜勤手当がないため、給料面を重視する人には物足りないかもしれません。その場合の解決法は2つあります。1つ目は上司に相談することです。ダメもとで相談してみましょう。
 2つ目は転職することです。やはり上司に相談したところで給料がアップする職場は少ないのが現状です。ほかの施設の給料については後述するので、転職する際の参考にしてみてくださいね。

オンコール

 ありません。デイケアは通所リハビリテーション施設だからです。

残業・超過勤務

 ほぼありません。デイケアは日中の通所施設だからです。そのためワークライフバランスがとりやすく、結婚・出産・育児といったライフステージにおいても無理なく働ける職場だと言えます。

責任

 率直に言うと大きくはありません。
 その理由は、リハビリに重点を置いているため、重症度や緊急度の高い利用者さんはおらず、看護師の医療行為が必要となる場面が少ないからです。
 デイケア看護師が行う本来の業務は、利用者さんのバイタルチェックや薬の管理、身体状態の観察や記録などです。しかし実際は入浴介助などの介護スタッフの仕事を手伝ったり、リハビリを担当する理学療法士などを補助したりする割合のほうが高くなっているのです。こうした状況は、医療行為をしたいという看護師にとっては物足りないかもしれません。
 看護師としてのやりがいを求める人は、医療行為が多い施設への転職をおすすめします。ほかの施設の労働環境については後述するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ほかの介護施設の労働環境はどうなっているの?

 ここまでデイケアの労働環境を見てきました。次に、ほかの介護施設の労働環境とデイケアの労働環境を比較してみましょう。あなたの悩みがデイケア特有のものなのか、そうではないのかが見えてくるでしょう。

訪問看護ステーション

・人間関係
 訪問看護ステーション(通称「訪看」)にはデイケア同様、看護師や保健師、理学療法士や作業療法士など、さまざまな職種が所属しています。しかしデイケアと大きく異なる点は、彼らがそれぞれの訪問先で別の動きをしていることです。そのためデイケアのように看護師が補助的な立場になることはありません。移動時間や休憩時間には一人になってリフレッシュもできるため、デイケアと比べ人間関係で悩むことは少ないでしょう。

・給料
 約317,406円
 デイケアより少し多くなっています。

『介護施設等における看護職員に求められる役割とその体制のあり方に関する調査研究事業報告書』表11 参考
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/16_kanngokyoukai.pdf)

・オンコール
 オンコールのないデイケアとは真逆で、訪看の多くはオンコールを導入しています。これは終末期の利用者さんや重症度の高い利用者さんが多いためです。

・残業・超過勤務
 時間外労働の平均は13時間、自宅への業務の持ち帰りについては24%があると回答しています。これは残業がほぼないデイケアと似ています。

『訪問看護ステーション労働実態アンケート結果』(12) 参考
(http://www.tokyo-iroren.net/old/pdf/taro_st_matome.pdf)

・責任
 医師が常駐しており、重症度や緊急度が低い人が利用するデイケアと違い、訪看看護師は終末期の利用者さんや重症度の高い利用者さんに対し、自分1人ですべての業務や判断を行うため、責任は大きいと言えます。

介護老人保健施設

・人間関係
 介護老人保健施設(通称「老健」)では、看護師と介護士の間でいざこざが起きやすくなっています。その理由は、医療知識を持つ看護師が上、持たない介護士が下、という力関係になってしまうケースが多いからです。これは看護師が補助的な立場になるデイケアとは反対の現象だと言えます。

・給料
 約317,642円
 デイケアより少し多くなっています。

『介護施設等における看護職員に求められる役割とその体制のあり方に関する調査研究事業報告書』表11 参考
(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/16_kanngokyoukai.pdf)

・オンコール
 デイケアのように全くないわけではありませんが、老健でもオンコールを導入しているところは14.2%と少なくなっています。老健の看護師には24時間常駐義務があり、夜勤の看護師が対応できるからだと考えられます。

『特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査報告書』表76 参考
(https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/report/2016/kaigojittai.pdf)

・残業・超過勤務
 常に人手不足のため、デイケアとは正反対で残業や超過勤務が慢性化しています。

・責任
 老健は医師が常駐していないことが多く、医療処置の判断はほぼ看護師が下さなければならないため、責任は非常に大きいと言えます。これは医師が常駐しており、かつ利用者さんの重症度や緊急度が低いデイケアとは反対だと言えます。

小規模多機能型居宅介護

・人間関係
 小規模多機能型居宅介護(以下「小多機」)では、訪問・通い・泊まりの3つのサービスにおいて、スタッフそれぞれが利用者さん一人一人と向き合っているため、スタッフ同士のトラブルは起きにくくなっています。スタッフ全員が同じ現場で働いているデイケアとは反対の状況です。
 小多機で重要なのはスタッフと利用者さんの関係です。定員が最大29名と少人数のため、利用者さん一人一人に合わせたきめ細やかなサービスの提供が求められているからです。

・給料
 約301,000円
 デイケアと同程度の水準だと言えます。

ジョブメドレー『看護小規模多機能型居宅介護(かんたき)とは? 主な特徴、利用条件、スタッフの仕事内容・給料などを紹介』 参考
(https://job-medley.com/tips/detail/926/)

・オンコール
 デイケアのように全くないわけではありませんが、小多機はスタッフがシフトを組んで24時間常駐しているため、オンコールは少なくなっています。

・残業・超過勤務
 デイケア同様、日中の通いや訪問が大半を占めるため、残業は少ない傾向です。

・責任
 医師が常駐しているデイケアとは違い、小多機では医師の配置が定められていません。しかし利用者さんの主治医との連携・指示があれば看護師も医療処置を行えるため、看護師の責任は大きいと言えます。

認知症対応型共同生活介護

・人間関係
 認知症対応型共同生活介護では、少人数定員での共同生活を通してスタッフそれぞれが入居者さん一人一人と向き合っているため、スタッフ同士のトラブルは起きにくいと言えます。
 問題はスタッフと入居者さんの関係です。入居者さんは全員認知症を患っており、中には暴言や暴力を振るう人もいます。そのため認知症に関する理解が不十分だと、入居者さんとの関係が上手くいかないこともあるでしょう。

・給料
 約276,320円
 介護施設の中では一番少なくなっています。デイケア同様、オンコールや残業、医療処置を行う機会が少ないからだと考えられます。

『平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果(案)』第56表 参考
(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000500293.pdf)

・オンコール
 医療依存度の高い入居者さんが少ないため、オンコールも少ないでしょう。

・残業・超過勤務
 デイケアほどではありませんが、比較的少なくなっています。これは2交代制や3交代制など、業務量を踏まえたシフトを組んでいるからです。

・責任
 医療依存度の高い入居者さんが少ないため、責任はデイケア同様小さいでしょう。しかし認知症の患者さんたちが共同生活を送っているため、常に見守り、何かあれば迅速に対応する必要があります。

介護施設以外の労働環境はどうなっているの?

 ここまでデイケア以外の介護施設の労働環境を見てきました。あなたの悩みはデイケア特有のものでしたか? ほかの介護施設にも共通するものでしたか? どこの介護施設も大変そうだと思った人、看護師資格を生かして働けるところはほかにもたくさんありますよ。ここからは介護施設以外の労働環境を見ていきましょう。

病院

・人間関係
 病院看護師のほとんどが女性であり、その多くが女性特有の陰湿な人間関係に悩んでいます。これは男性スタッフが一定数いるデイケアの状況とは異なります。
 ただ男性看護師が多く勤める精神科だと、人間関係のトラブルは少ないようです。

・給料
 約318,916円
 デイケア含め、どの介護施設よりも多くなっています。

『2020年 病院看護実態調査報告書』表34 参考
(https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/96.pdf)

・オンコール
 手術室や産科の配属になるとオンコールがあり、「オンコール=出勤」になることがほとんどです。

・残業・超過勤務
 デイケアと違い、患者さんの急変といった不測の事態が頻繁に起こるため、残業や超過勤務があるのが当たり前の状態になっています。

・責任
 病院看護師の責任は非常に大きいと言えます。デイケアを含めたどの介護施設よりも医療依存度の高い患者さんの割合が多く、看護師の小さなミスであっても人命を左右する可能性があるからです。

診療所

・人間関係
 デイケアと違い、医師や看護師、医療事務といった最低限の職種・人数しかいないため、人間関係は築きやすいでしょう。
 重要なのは看護師と医師の関係です。両者の関係が良好であれば連携が上手くいき、より良質な医療を提供できるからです。

・給料
 約247,127円
 デイケア含め、どの介護施設よりも少なくなっています。

『2017年看護職員実態調査』統計表67 参考
(https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/92.pdf)

・オンコール
 診療所によってある場合とない場合があります。

・残業・超過勤務
 デイケア同様、患者さんの急変など不測の事態が起こることが少ないため、残業や超過勤務はほとんどないと考えてよいでしょう。

・責任
 急変・急患などの対応は少なく、責任は小さいと言えます。

助産所

・人間関係
 入院床数が9床以下と少なく、妊婦さんと赤ちゃん、その家族も過ごす場所ということから、アットホームで人間関係の良い職場が多くなっています。

・給料
 約330,000円(助産師免許所有の場合)
 デイケアより約3万円多くなっています。

ジョブメドレー『【2021年最新版】助産師とは? 仕事内容、なり方、働く場所、給料などを徹底調査』 参考
(https://job-medley.com/tips/detail/125/)

・オンコール
 出産間近の妊婦さんが入院しているときはオンコールがあります。

・残業・超過勤務
 産婦人科で出産する妊婦さんのほうが多いため、残業は少ない傾向です。ただしお産はいつ始まるかわからないため、昼夜関係なく呼び出されます。

・責任
 出産は命懸けです。母体と赤ちゃん2人の命が助産師と看護師にかかっているため、責任は非常に大きいと言えます。もし母体や赤ちゃんが危険な状態になった場合は、提携の病院などに緊急搬送しなければならないため、迅速かつ正確な判断が求められます。デイケア看護師の責任とは比べものにならないでしょう。

学校

・人間関係
 看護師は保健室の先生としても働けます。多様な職種が所属するデイケアより気ラクに働けるでしょう。しかし生徒に体や心のことを安心して相談してもらうためには、デイケアを含めた介護施設同様、高いコミュニケーション能力が必要とされます。

・給料
 約180,000円(基本給)
 デイケアと比べるとかなり少なくなっています。

『マイナビ看護師 保健室の看護師ってどんな仕事? 』 参考
(https://kango.mynavi.jp/contents/helpful/qa/181213/)

・オンコール
 ありません。

・残業・超過勤務
 ほぼありません。

・責任
 多くは軽い症状のため、過度なプレッシャーを感じる必要はありません。しかし未来ある子どもたちの命を預かっているという意味では責任重大です。実際アレルギーや喘息の発作といった迅速な応急処置を求められる場面もあり、即座に対応できるよう常にシミュレーションしておく必要があります。

保健所

 保健師の資格を持っている看護師さんは、保健師として保健所で働くこともできます。ここでは保健師としての労働環境を紹介します。

・人間関係
 保健所内では保健師のほか、産業医や事務スタッフなど、デイケアのように多様な職種や年齢層の人が働いているため、人間関係のトラブルも起きやすいと言えます。行政保健師は3年程度で異動になることが多く、人間関係の再構築に苦労する人もいるでしょう。
 住民との関係もまた難しいものがあります。それは保健師が母子や高齢者、貧困者といったさまざまな事情を抱えた人たちの対応にあたるため、ときに心ない言葉を掛けられることがあるからです。

・給料
 約353,957円(保健師免許所有の場合)
 デイケアと比べると約5万円も多くなっています。

『2017年看護職員実態調査』統計表67 参考
(https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/research/92.pdf)

・オンコール
 基本的にはありません。

・残業・超過勤務
 ほぼありません。

・責任
 デイケア看護師同様、保健師にも緊急を要する業務はありません。しかし赤ちゃんからお年寄りまで、地域住民全員の心身の健康を担っているという意味では、責任が大きいと言えます。

デイケア看護師を辞めるときに気を付けるポイント

 ここまで、デイケアの労働環境とほかの施設の労働環境を比べてみました。デイケアを辞めようと決意した人も中にはいるかもしれません。ここではデイケア看護師を辞めるときに気を付けるポイントを3つ紹介します。

転職はなるべく4,5年目以降にする

 転職を決意したら早く辞めたいと思うかもしれませんが、転職するのはなるべく4,5年目以降にしましょう。4,5年目だと勤続年数が長くも短くもないため、転職先で教育がしやすく、かつ即戦力にもなるからです。
 勤続年数が長いと前の職場でのやり方に固執してしまい、転職先の教育方針に馴染めない可能性がある一方、勤続年数が短いと足手まといになる可能性があります。そしてそれが人間関係のトラブルに発展してしまうことも考えられるため、4,5年目以降が転職に適したタイミングだと言えます。

ポジティブな退職理由にする

 退職理由を人間関係の悪化といったネガティブなものにしてしまうと、最終出社日までの残りの期間、お互い働きづらくなってしまいます。最終日まで円満に過ごすためにも、スキルアップのためといったポジティブな退職理由にしておきましょう。

場合によっては退職代行も検討する

 辞めたいと言い出しにくい、上司に辞めさせてもらえない、という人は退職代行を使うのも1つの手です。退職までの一連の流れをトータルサポートしてくれ、職場の人たちに会わずに退職できるため、特に人間関係に悩む看護師さんにおすすめです。近年、退職代行を使って退職する看護師さんが増えています。看護師さんの退職代行の利用状況はこちらから確認してみてください。→https://td-meister.jp/1283(退職代行マイスター)

よく利用される転職サービス

 ここで、よく利用される転職サービスを3つ紹介します。

マイナビ看護師

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まとめ
 今回はデイケア看護師の悩みとその解決法、デイケア以外の施設の労働環境を紹介しました。あなたが自分の価値観やライフスタイルに合った職場に出会い、生き生きと働けることを願っています。

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