退職代行を利用して退職に至った場合、本来もらえるはずの離職票がもらえるのかどうか不安に思う方も多いでしょう。
本文でも詳しく解説していきますが、退職代行を利用した場合でも離職票は受け取り可能です。
この記事では、退職代行を利用した際の離職票の受け取りや、離職票に関する事情について詳しく見ていきましょう。

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『退職希望者』と『退職代行業者』の懸け橋になることを目標に本プロジェクトを立ち上げる。自分たちの退職時の経験から悩みに寄り添い、安心して利用できる退職代行業者のみを紹介する。

離職票は退職代行利用後でも受取可能

離職票は、退職代行を利用した場合でも受け取ることができます。
離職票とは退職時に会社が発行する書類で、正式には「雇用保険被保険者資格喪失届」といいます。
離職票は主に失業給付金を申請する際に必要な書類であるため、退職後は必ず会社から発行されるようになっているのです。
通常、離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届がセットになって発行されるため、転職先が決まっていない方は速やかにハローワークでの失業給付申請や役所での国民保険・国民年金加入手続きを行いましょう。
離職証明書および雇用保険被保険者資格喪失届は、退職日翌日より10日以内に会社が発行手続きをする必要があると定められています。
そのため、明らかに離職票の郵送が遅い場合はこちらから催促する必要性も生じてくるため注意が必要です。
離職票受け取りの流れ

先述の通り、会社がハローワークに離職証明書を提出する期限は退職の翌日から10日以内と雇用保険法で定められています。
通常は、あなたの退職が決まってから10日以内に、会社がハローワークへ離職票発行手続きを行い、ハローワークから発行された離職票をあなたへ郵送するといった流れになります。
そのため、遅くても1~2週間以内には離職票を受け取っていることが普通です。
離職票がまだ届いていない!というような事態がないように、離職票受け取りまでの流れを確認しておきましょう。
step1:退職代行が事前に郵送を依頼する
基本的には何も言わずとも離職票を発行することが普通ですが、郵送されないといったトラブルを未然に防ぐ必要があります。
退職代行を利用した場合、退職代行業者を介して離職票の郵送を依頼しておくとスムーズな受け取りが可能になることが多くなっています。
離職票を受け取っていないといったトラブルがないように、退職代行業者ともすり合わせをしておくようにしましょう。
step2:一定期間内に郵送される
基本的には1~2週間以内に郵送されることが多いですが、ハローワークは年度の切り替わる3月や9月が繫忙期であると言われ、離職票の発行が遅くなってしまうこともあります。
事前に、いつまでに離職票を郵送してもらえるのかを確認しておくことが重要ですが、もしも届かないような場合は離職票の発行はできているのかどうかを確認しなければなりません。
また、今までに退職経験がない若い世代では、離職票の存在をあまり理解していない方も増えています。
退職と離職票の受け取りはセットで考えておくようにしてくださいね!
離職票が届かない場合は…?

退職代行を利用したはいいものの離職票が届かない…という場合もあるようです。
しかしながら、離職票の発行は雇用保険法に定められた業務であるため、対策を知っていれば離職票を受け取ることができる場合が多くなっています。
ここからは、実際に離職票が届かない場合、どのように対応するべきなのかを解説していきます!
退職代行に催促を依頼
離職票の発行は以下の雇用保険法でこのように定められています。
離職した者は、厚生労働省令で定めるところにより、従前の事業主又は当該事業主から徴収法第三十三条第一項の委託を受けて同項に規定する労働保険事務の一部として求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付に関する事務を処理する労働保険事務組合に対して、求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付を請求することができる。その請求があつたときは、当該事業主又は労働保険事務組合は、その請求に係る証明書を交付しなければならない。
雇用保険法第76条3項
事業主は、法第七条の規定により、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことについて、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第四号。以下「資格喪失届」という。)に労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳その他の当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの事実及びその事実のあつた年月日を証明することができる書類を添えてその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。
雇用保険法施行規則第7条
退職代行を利用したとしても、離職票の発行は法律によって定められています。
退職後1~2週間以上たっても離職票が届かない場合、また、特に離職票郵送の日取りを提示されていない場合は退職代行を介して離職票の催促を依頼しましょう。
この際、無資格の退職代行業者では離職票を送ってほしい旨を伝言することしかできません。
その時点で離職票の発行を拒否されれば、交渉などを行うことはできないため注意が必要です。
離職票の発行拒否など交渉が必要な場合のために、有資格の退職代行業者に依頼しておくこともおすすめです。
退職代行業者の資格による違いは以下の記事を参考にしてみて下さい。
http://13.230.196.216/2799ハローワークに催促を依頼
退職代行業者を介しての催促以外に、ハローワークに依頼する方法もあります。
ハローワークが離職票を会社へ発行したにも関わらず、嫌がらせで郵送をしないといった悪質な企業もなかには存在するようです。
そういった場合、ハローワークに事情を伝えることで会社に離職票の郵送を催促してもらうことができます。
特に、退職代行業者が無資格で交渉が不可能な場合は、ハローワークへの依頼を検討してみるといいでしょう。
離職票の受け取りが遅れるとどうなる?

離職票を受け取らなければならないことは分かったものの、実際に離職票の受け取りが遅れると、どのようなデメリットが生じるのか疑問に思う方も多いでしょう。
ここからは、離職票の受け取りが遅れた際のデメリットをご紹介します。
失業給付金の手続きが遅れる
失業給付金とは、失業した(職を失った)あと、次の就職先が決まっていない場合に国から一定期間支給される給付金のことです。
失業給付金の受け取りは、以下の条件を満たす必要があります。
- 退職日から遡って2年間のうち12か月働いた期間がある
- ハローワークで求職申し込みを行い、労働の意思や能力を持っているのに就職ができない状態である
※倒産や解雇など会社理由での退職者は特定受給資格者、自身の疾病や妊娠・セクハラなどの理由で退職した特定理由離職者の場合は、退職日より遡って1年間のうち被保険者期間が通算6ヵ月以上あること
失業給付金の対象者となる場合、失業給付金申請には発行された離職票が必要となります。
離職票の発行が遅れた場合、給付金を貰える期間が遅くなり、生活に支障をきたしてしまうリスクがあるのです。
しかし、退職後12日経過しても離職票が届かない場合は、その事情を伝えることで失業給付金の仮申請を行ってくれます。
万が一、離職票の受け取りが遅い場合はハローワークへ相談するといいでしょう。
保険証の手続きが遅れる
退職後、次の就職先が決まっていない場合、会社の健康保険から切り替えを行う必要があります。
退職後の保険手続きは、以下の3つの方法があります。
- 国民保険への加入(退職後14日以内に手続き)
- 任意継続被保険者制度の利用(退職後20日以内に手続き)
- 両親や家族の扶養に入る(失業給付金を受ける場合は不可)
任意継続被保険者制度とは、退職した会社で2か月以上被保険者の継続があれば、20日以内に手続きをすることで最大2年間保険を継続できるシステムです。
また、家族の扶養内に入ることもできますが、失業給付金を受けている場合にはこの方法は選択できません。
ほとんどの方が国民保険へ加入されるかと思いますが、国民保険への加入には離職票の提示が必要です。
14日以内に手続きする必要があるため、それまでに離職票を受け取っておく必要があります。
国民保険法には以下の項目が規定されています。
保険料の賦課決定は、当該年度における最初の保険料の納期(この法律又はこれに基づく条例の規定により保険料を納付し、又は納入すべき期限をいい、当該納期後に保険料を課することができることとなつた場合にあつては、当該保険料を課することができることとなつた日とする。次項において同じ。)の翌日から起算して二年を経過した日以後においては、することができない。
国民健康保険法第110条2項
簡単に説明すると、手続きが遅れてしまうことで、本来支払わなくてよい保険料を支払わなければならないことになるというデメリットが生じます。
そのため離職票を速やかに受け取る必要があるのです。
年金の手続きが遅れる
退職後は、家族の扶養に入るか、国民年金への加入手続きが必要です。
失業給付金を受け取る場合、扶養に入ることはできないため、国民年金に加入する方が多いでしょう。
国民年金への加入も退職後14日以内の手続きが必要です。
国民年金に関しても、手続きは各自治体(市役所など)にいく必要があり、離職票が必要となります。
年金の場合は14日を過ぎても保険料の賦課などはありませんが、2年以内に追加納税を行わなければもらえるはずの年金額が減ってしまうため注意が必要です。
退職代行利用で会社都合の離職票は貰える?

退職代行を利用した場合、離職票の理由欄はどのように記載されるのでしょうか?
会社都合や自己都合などにより失業給付金を受け取れる期間や金額が異なる場合もあるため、確認していきましょう。
会社都合にできるケース
会社都合になる理由は、会社が原因で離職した場合です。
例として以下のような項目が当てはまります。
- リストラなど一方的な解雇
- 会社の倒産
- 会社の上司や同僚からのいじめ
- 労働契約締結時の内容と、実際の勤務内容・勤務時間・賃金などが著しく異なる
- 賃金の大幅カットや賃金未払いが続いた
- 会社側から退職を促される退職勧奨を受けた
- 当該労働契約が更新されない事態になった
懲戒処分の対象となる行為により免職された場合は自己都合による退職となります。
自己都合で送られる場合が多い
基本的に、一方的な会社への不満や、キャリアアップでの転職、結婚・妊娠・転居・自身の疾病・介護などは自己都合による退職です。
退職代行を利用した場合、よほどのことがない限りは自己都合退職と記載されることが多いでしょう。
会社によっては、離職票理由欄に記載する内容を確認してくれる場合がありますが、自己都合による退職を会社都合にすることはできません。
修正依頼は有資格業者のみ可能
本来ならば会社都合での退職であるのに、自己都合による退職と記載された離職票が送付される場合があります。
この場合、無資格の退職代行業者は交渉をすることはできないため注意が必要です。
会社との直接的な連絡を取りたくない場合、有資格の退職代行業者に修正依頼をするようにしましょう。
また、中にはこのようなケースもあります。
離職票は、転職活動の際に提出を依頼される場合もありますので、記載内容には注意が必要です。
退職代行利用でも離職票受取りは忘れずに!

退職代行を利用した場合でも、会社は離職票を発行しなければならないと法律で規定されています。
10日以上経過しても離職票が届かない場合は退職代行業者やハローワークを介して催促をしてもらいましょう。
離職票が届かない場合のデメリットは大きいため、早い段階で離職票郵送を促しておくことをおすすめします。
退職代行を利用した場合でも、必ず離職票を受け取るようにしてくださいね